庁内副業制度の試行 - Xmeetingの枠組みで新たな働き方を
豊岡市では、第5次行革大綱に掲げられている「すべての職員にとって働きがいのある市役所になっている」を実現するため、新たな取り組みとして「庁内副業制度」の試行を検討しています。この制度は、職員の創造性や主体性を尊重し、各職員が持つ専門性、知識、経験を最大限に活かすことを目的としています。
Xmeetingの枠組みで週2時間(勤務時間の5%)を担当業務以外の創造的活動に充てることができる「庁内副業制度」を試行することで、組織全体の活性化と市民サービスの向上を目指します。
庁内副業制度の概要と目的
狙いと目的
第5次行革大綱に掲げられている「すべての職員にとって働きがいのある市役所になっている」を実現する手段として、職員の創造性や主体性を尊重することを目指します。
職員の能力活用
各職員が持つ専門性、知識、経験を最大限に生かすことで、組織全体の活性化を図ります。
横断的な協力体制
部局を横断した協力体制を構築し、職員個々が持っている能力を活かす環境を整えます。
現状と課題 - 市役所組織の改革に向けて
現状の認識
「働きやすい、働きがいのある市役所プロジェクト」では、相次ぐ事務処理誤りを踏まえ、その根底にあるコミュニケーションやマネジメントのあり方など市役所組織全体の課題を明らかにしています。
事務事業のあり方の見直しや組織風土の改革を進めており、この新たな打ち手の一つとして「庁内副業」を検討したいと考えています。
直面している課題
①市役所全体として、部局を横断とした協力体制がとりにくく、職員個々が持っている能力を活かしきれていないという課題があります。
②Xmeetingの運営において、メンバーが自身の所属以外の業務へ積極的に参加しにくい状況があります。また、所属長等が所管の事務以外の業務に職員を出すことに消極的な場合があります。
庁内副業制度の試行内容
時間配分
事前に所属長に届け出た上で、勤務時間の一部(5%:週2時間)を、担当業務以外の創造的活動(Xmeeting業務)に充てることができます。
業務効率化
創造的活動に要する時間は、職員自身の工夫において捻出することとし、所属長も率先して所属の業務効率化を推進することでサポートを行います。
効果検証
調査結果・試行結果をふまえ課題を整理し、将来的に効果の高い取り組みとして豊岡市にどのように適用できるかを検討します。
庁内副業制度の将来展望
全庁的な拡大
庁内全体に枠や割合を拡大し、市役所内で部局を横断して繁忙期の職場を助け合える仕組みを構築することを目指します。
人口減少対策
人口減少による人手不足への対策として、地域に密着して働く市職員が報酬を得て地域貢献活動を行える環境(横浜市など)の実現を検討します。
組織活性化
職員の創造性や主体性を尊重し、専門性、知識、経験、能力を最大限に活かすことで、組織全体の活性化と市民サービスの向上に寄与します。
先行事例:ふくい式20%ルール
創造的活動の奨励
業務時間の20%を創造的活動に
部署横断の協力
所属を超えた連携の促進
職員の成長支援
新しいスキル習得の機会提供
福井市で実施されている「ふくい式20%ルール」は、職員が業務時間の20%を創造的な活動に充てることができる制度です。この先行事例を参考に、豊岡市では5%(週2時間)からの試行を計画しています。福井市の事例では、職員の意欲向上や部署間連携の強化などの効果が報告されています。
Xmeetingのミッションと位置づけ
市役所の働き方・業務のやり方を革新し浸透させる
Xmeetingの核心的ミッション
アメーバ型組織による全庁的DX浸透
点在するメンバーによる組織変革
DX推進基盤の整備
全庁的にDXを進める新たな基盤作り
Xmeetingは「市役所の働き方・業務のやり方を革新し浸透させる」というミッションを掲げています。市役所内全体にDXを浸透させていくアメーバ型組織として、DX推進戦略の中間目標である「市民等の手続きは簡単・便利になり、市職員は定型業務をしていた時間を市民サービスの向上に使っている」の実現を目指しています。
Xmeeting 2024年度の体制
24人
総メンバー数
2024年度のXmeeting参加者総数
6人
DX特性メンバー
2023年度からの継続メンバー
18人
DRドライブ特性
2024年度の新規メンバー
3チーム
活動チーム数
プロジェクト推進のための編成
2024年度のXmeetingは、2023年度からの継続メンバー6人(DX特性)と新規メンバー18人(DRドライブ特性)の合計24人で構成されています。活動は3つのチームに分かれて行われ、それぞれが特定のテーマに取り組みます。
Xmeeting 2024年度のチーム構成
チームA
ミッションとウェルビーイングなチーム環境
チームB
Toyooka Knowledge Bankの浸透
チームC
会議を変えるのは誰か
2024年度のXmeetingは3つのチームに分かれて活動します。チームAは「ミッションとウェルビーイングなチーム環境」、チームBは「Toyooka Knowledge Bankの浸透」、チームCは「会議を変えるのは誰か」というテーマに取り組みます。各チームは、それぞれのテーマに沿って市役所の働き方や業務のやり方の革新を目指します。
Xmeeting 2024年度のスケジュール
第1回〜第3回(5月〜7月)
5月31日:昨年度成果の共有、アイデア発散WS
6月20日:プロジェクトとタスク分解のトレーニング
7月25日:3チーム編成、プロジェクトに着手
第4回〜第5回(8月〜9月)
8月22日:ゴール設定とタスクの設定
9月27日:継続的な取り組み
10月7日:中間報告会
第6回〜第10回(10月〜2月)
10月17日、11月21日、12月19日、1月23日、2月27日:継続的な活動
3月3日:最終発表会
庁内副業制度導入で改善が期待できるXmeetingの課題
業務過多の解消
「つい、業務過多になってしまう・・・」という課題に対して、月1回のMTG以外にもチームで集まったり、Xmeetingのテーマに関する事務シゴトに時間を費やしていただいていた実態があります。
公式に5%ルールを取り入れることで、業務時間内にメンバーが、全庁的な課題解決プロジェクトに取り組みやすい環境が創出されることが期待できます。
モチベーション向上と参加促進
「モチベーションの高いメンバーによるチーム構成が重要である一方で、そのような職員がとても少ないのでは・・・?」という課題に対して、これまでのアセス等による指名型を「応募型メイン」に変更し、全庁的な課題に取り組むことに前向きなマインドの職員でチームを作る予定です。
その一方で、多くの職員の応募を見込みづらいため、参加への制度を改善し提示することは、応募メンバー確保にポジティブに影響すると見込んでいます。
庁内副業制度の効果
創造性と主体性の尊重
職員の創造性や主体性が尊重される環境が整い、自発的な課題解決への取り組みが促進されます。
専門性と能力の活用
職員の専門性、知識、経験、能力が最大限に活かされ、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
組織の活性化
部署を超えた協力体制が構築され、組織全体の活性化と市民サービスの向上に寄与します。
庁内副業制度の導入によって、創造的活動(担当業務以外)に取り組む環境が整備されることで、職員の創造性や主体性が尊重され、専門性、知識、経験、能力が最大限に活かされることが期待されます。これらは、組織全体の活性化と市民サービスの向上に寄与すると考えられています。
庁内副業制度の試行スケジュール
情報収集と制度設計(2025年4月)
先行事例の情報収集を行い、豊岡市に適した庁内副業制度の設計を行います。ふくい式20%ルールなど、他自治体の成功事例を参考にしながら、豊岡市の実情に合わせた制度を構築します。
試行開始(2025年5月)
Xmeetingでの試行としてメンバー募集を開始します。応募型を主体とし、全庁的な課題に取り組むことに前向きな職員を中心にチームを編成します。
分析と評価(2025年5月〜)
試行状況・結果の分析を継続的に行い、効果や課題を明らかにします。分析結果をもとに、制度の改善や全庁展開の可能性を検討します。
庁内副業制度の経費と体制
経費
庁内副業制度の試行にあたっては、特別な経費は発生しません。既存の業務時間内での取り組みとなるため、追加の予算措置は不要です。
体制
Xmeetingの取組みの中でDX・行財政改革推進課が管理運営を担当します。制度の設計、メンバー募集、進捗管理、効果測定などを一元的に行います。
サポート体制
所属長は、メンバーが庁内副業に取り組みやすいよう、所属の業務効率化を推進することでサポートを行います。組織全体で制度を支える体制を構築します。
他課との調整と法的検討
他課との調整
庁内副業制度の試行にあたっては、関係各課との調整が必要となります。特に、人事担当部署との連携が重要であり、勤務時間の取り扱いや評価方法などについて事前に協議を行います。
また、Xmeetingに参加するメンバーの所属部署とも、業務時間の配分や進捗管理の方法について調整を行い、円滑な制度運用を図ります。
法的検討
庁内副業制度の実施にあたっては、地方公務員法など関係法令との整合性を確認する必要があります。特に、勤務時間の取り扱いや職務専念義務との関係について、法的な観点からの検討を行います。
先行事例を参考にしながら、法的な問題が生じないよう制度設計を行い、必要に応じて顧問弁護士等の専門家の意見も聴取します。
庁内副業制度がもたらす組織変革
イノベーションの促進
部署の壁を超えた新しいアイデアの創出
2
2
スキル向上と人材育成
多様な業務経験による能力開発
部署間連携の強化
横断的な協力体制の構築
職員満足度の向上
働きがいと主体性の実感
庁内副業制度は、単なる業務時間の配分変更ではなく、組織全体の変革をもたらす可能性を秘めています。イノベーションの促進、スキル向上と人材育成、部署間連携の強化、職員満足度の向上という好循環を生み出し、「すべての職員にとって働きがいのある市役所」の実現に貢献します。
庁内副業制度の将来的な展開可能性
庁内副業制度は、試行段階から将来的に様々な形で展開できる可能性を持っています。例えば、庁内全体に枠や割合を拡大し、市役所内で部局を横断して繁忙期の職場を助け合える仕組みの構築や、人口減少による人手不足への対策として、地域に密着して働く市職員が報酬を得て地域貢献活動を行える環境の実現などが考えられます。
また、職員の専門性を活かした新たな市民サービスの創出や、行政課題に対する革新的な解決策の開発など、多様な展開の可能性があります。
他自治体の庁内副業制度事例
全国的に様々な自治体で庁内副業制度が導入されています。福井市の「ふくい式20%ルール」は業務時間の20%を創造的活動に充てることができる制度で、職員の意欲向上や部署間連携の強化などの成果を上げています。横浜市や鎌倉市でも、それぞれ特色ある制度を導入し、組織の活性化や課題解決の迅速化などの効果を得ています。
庁内副業制度の成功に向けたポイント
経営層のコミットメント
トップダウンの支援と理解
明確なルール設定
透明性のある運用基準
効果的な周知と共有
全職員への適切な情報提供
適切な評価と改善
継続的な効果測定と見直し
庁内副業制度を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、経営層のコミットメントが不可欠であり、トップダウンの支援と理解が制度の浸透を促進します。また、明確なルール設定により、透明性のある運用が可能となります。効果的な周知と共有によって全職員の理解を得ることも重要です。さらに、適切な評価と改善を継続的に行うことで、制度の効果を最大化することができます。
庁内副業制度がもたらす豊岡市の未来
創造性あふれる職場環境
庁内副業制度の導入により、職員の創造性が発揮される職場環境が実現します。部署の壁を超えたアイデアの交流が活発になり、革新的な解決策が生まれやすくなります。
市民サービスの向上
職員の専門性や経験が最大限に活かされることで、市民サービスの質が向上します。多様な視点からのアプローチにより、市民ニーズにより適切に対応できるようになります。
働きがいのある市役所
職員一人ひとりが自分の能力を発揮し、主体的に課題解決に取り組むことで、働きがいを実感できる市役所が実現します。これにより、人材の定着や優秀な人材の獲得にもつながります。
庁内副業制度の導入は、豊岡市の未来に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。創造性あふれる職場環境の実現、市民サービスの向上、働きがいのある市役所の構築という三つの側面から、豊岡市の行政サービスの質を高め、「すべての職員にとって働きがいのある市役所」という理念の実現に貢献します。